**** 竹とんぼ:目次 ****
#1 良く飛ぶ竹とんぼ
#2 竹とんぼの理論
#3 バランス調整と道具
#4 竹とんぼ中級~と飾り竹とんぼ
竹とんぼ作りには、いろいろな楽しみ方があります。ナイフを使って削り、作ることを楽しむ人。飛行能力を求める人。美しい形状を求める人。子供たちに竹とんぼを広めたい人。しかし、最後には、風に乗って空高く飛ぶ竹とんぼを見て、歓声をあげることかもしれません。
最初に初心者用の”良く飛ぶ竹とんぼ作り”を紹介します。ここで説明する軽量化して良く飛ぶようにした竹とんぼを、初級スーパー竹とんぼと言います。
竹とんぼは子供から大人まで遊べるおもちゃですが、ここでは本格的な作り方とバランスの調整方法を説明します。
次ページで竹とんぼの機能を理論的に解説し、実際の製作に利用します。
この、竹とんぼの理論を使い、解析しようとしたきっかけは、竹とんぼの軸の長さを、少しずつ短く切っていくと飛行が不安定になる。しかし、軸が無いのはよく飛ぶ!!、なぜだろう?です。本格的に製作したい場合は、竹とんぼを製作するグループなどに参加し、楽しみながら作るのも良いと思います。
竹とんぼ作りには、ナイフの使用が前提となりますが、そのほかの道具は、適宜追加でお願いします。ここでは最低限度の道具で作ります。
使用する竹は、少し古い竹(3年位)が好ましく、竹の子の皮が残っている新しい竹は不向きです。切った竹は緑が黄色になるまで乾燥させます。そして竹引きノコで概略のサイズに切ります。
…… ちょっと一言 ……
昔は、子供がナイフを使うことは、特別なことではなく、使い方も自然に覚えたものです。(ナイフは切り出しナイフでした)
ナイフは工作用の切り出しナイフを使用してください。カッターナイフを使用すると怪我をします。
■更新内容(サイト全体): 更新情報
寸法図と材料(写真をクリック)
・材料: 真竹または孟宗竹。大量に製作する時は直径8.5cm位のカーブがきつくなる竹が作りやすい。長さ13cm前後の竹串
・左図は製作する概略の外形図。この寸法で厚紙などで型紙を作ります。
・道具: 切り出しナイフ、クラフト用ノコ、四ツ目キリ、ラジオペンチ、紙やすり(#80、#100,#240),紙やすり用竹筒φ2~3cm位、ろうそくとライター、アルミホエール,竹用ナタ(又は両刃の電工ナイフ)、カッターは危険なため使用不可。少し製作に慣れ、本格的に製作する場合は金属用ヤスリ(荒目、中目)カンナを使用し、各種刃物をそろえると良い。
(1)工具
定規、両刃の電工ナイフ(ナタの代わり)、切り出しナイフ。
(2)工具
竹用クラフトノコ、四ツ目キリ、竹筒と紙やすり(#80,#180)。(鉄やすりがあれば荒目、中目)
(3)工具
コンパス、ラジオペンチ、低粘度の瞬間接着剤(釣り用でも可)
(4)材料
竹引きノコで約10cm×2cm位に切り取る。軸は市販の竹串13cm、3mmφ前後、先がとがっていたら切り落とす。
(5)薄く割る
竹の厚さを2mmより少し厚く割る。但し、できるだけ2.0mm近くに割る。片側から中央付近まで割ったら、反対側から最後まで割る。必ず両サイドから割る。小型の竹割ナタ又は両刃の電工ナイフを使用。ナタの背をたたく時は木槌又はプラスチックハンマー。
(6)割った状態
写真下側が割る前の状態。中央が両サイドから割った状態。竹の中央がつながっているが、実際は反対側を割った時に割り離す。写真の上側が割り離した状態。割りが完了したら、幅を正確に1.8cmになるように、紙やすりでこすり、仕上げる。
(7)平らに削る
割った面をナイフで平らに削る。中央部や厚さが均等に割れない箇所を2mmの厚さに削る。端を布などで数回巻いてつかむと削りやすい。
(8)平らに削る
保持器がある場合は、写真のように削る。
(9)平らに削る-A
竹を紙やすり(#80)で巻き、こすって平らに仕上げる。最後に竹の代わりに角棒を紙やすりで巻けば、より平面が出る。
(10)平らに削る-B
より精度がほしい時と、大量に作る時はこの治具が便利。木片に幅が4cmの薄い鉄板を接着し、紙やすりを両端のネジで止めたもの。ネジの代わりに薄い両面テープで張り付けても可。図は#80と#150のペーパーを上下に取り付けてある。利用範囲は広い。但し、平らに削る箇所はカンナを使い、仕上げるのが常道。
(11)仕上げと断面
板をノコと紙やすりで、長さ9cm、巾1.8mm(~1.75)に仕上げる。全体の厚さが2mm。図の両端を1.0(~0.5)mm厚に仕上げる。
(12)板の中心を求める方法-A
中心を求めるのは以外と難しい。中心が大きくずれると、バランスが取りにくくなる。使用する定規は中心が”0”の製品を使うと便利。長さ方向と幅方向ともにマークを付けて中心を出す。
(13)板の中心を求める方法-B
他の方法として、ストッパー付きのスケールを使う。左右(90/2=45)、上下(18/2=9)の位置を決め、マーク線を入れる。レベルの高いトンボを作る場合も同じ方法。
(14)マーク線
板の寸法が正確の時は直交する線は2本となるが、板の寸法が少し狂っていると図のように4本となる。板の中心は四角の中心となるので四ツ目キリで、ケガキ用ポンチ穴を開ける。(電気ドリルを使用する場合は必須)
(15)穴を開ける
板に中心線を引く。板の中心にキリで直径2.5mmの穴をあける。(電気ドリルを使用すればきれいに穴が開く。)穴の位置が大きくずれていると、調整不可能になることがある。ドリルで開けた穴は円筒形であるので、差し込む竹軸の先端のテーパー角に合わせて、四ツ目キリなどで穴をエグル。これを行うと接着面積が増え、軸が取れにくくなる。
(16)型紙を当て、線を書く
型紙と竹の中心が一致するように、竹軸を穴に通して、中心を決める。クリップ3個ではさむ。型紙にそって線を引く。
(17)クラフト用ノコで切る
線を超えないように、クラフトノコで細かく切る。
(18)不要部分を取る
ラジオペンチではさみ、折って取り去る。少しずつ折らないと羽まで割れる。数カ所に切れ込みを入れ、薄い刃のニッパーや、盆栽用の又枝切鋏で切ることも可能
(19)側面の削り
側面をナイフで削る。万力があれば万力で固定して削る。
(20)側面の削り
#80紙やすりで滑らかににする。
(21-1)羽根をねじって曲げる
厚手のアルミホエールで2重に巻き、ローソク又はポケットトーチバーナーで動かしながらあぶる。あぶり過ぎると竹は焦げる。数秒あぶったら両手でねじる。大量に作る場合はヒートガンやアルコールランプ+金網を使用する。この場合はアルミホエール不要。尚、事前に軸用の穴に竹ピンを差し込んでおかないと、穴の部分で大きく曲がる。
(21-2)羽根をねじって曲げる
翼の端を調整板に載せ指で押さえ、反対側の翼の角度が30度になるように熱で曲げる。このようにすると(29)に示すように15度が得られる。
(22)竹の材料の違い(写真をクリック)
写真の上と下は厚さと面積が同じであるが、重さは違う。これは使用する竹の直径の違いによる。上のカーブのきつい材料を推奨するが、下のカーブのゆるい材料を使うこともあるので、削る箇所を分けて説明する。目的はできるだけ重さを少なくするため。どちらも翼の端は削らない。
(23)カーブのきつい材料を使う場合
見やすくするため、断面を赤く塗ってある。翼端近くの幅方向の端は肉厚が薄くなっている。
(24)カーブのきつい材料を使う場合(写真をクリック)
曲げた後に、図の囲んだ箇所を削る。裏面のみ削り、端部分は削らない。軸を差し込む箇所を削ると、軸と翼の接着強度が落ちるので削らない。最後に#180~#240の紙やすりで仕上げる。
(25)カーブのゆるい材料を使う場合
中央部と翼端部の厚さはあまり変わらないので、翼端部の幅の縁も削り軽くする。
(26)カーブのゆるい材料を使う場合
主に線で囲った部分を削って軽くする。図の上が表面、下が裏面。最後に#180~#240の紙やすりで全体を滑らかにする。目標とする重量は軸+翼=2g以下が望ましい。子供たちに竹とんぼを高く飛ばせるには、できるだけ軽くする必要がある。
(27)バランス調整(初級者用)
削り終わったらバランスの調整を行う。最初に竹軸が真っ直ぐか確認する。もし曲がっていたら、真っ直ぐに修正する。図の状態と翼を180度回転させて、同じように翼が水平になればバランスが取れたとする。左右の重さが違うと、水平で止まらない。水平になるように、ナイフとヤスリで羽根の端(裏側)を削り、調整する。翼の上下をひっくり返して同様にバランスを見る。
(28)軸を付けて調整
翼に軸を強くねじって入れる。回してバランスを見るが、慣れていない時は、写真の調整板を作るとと簡単に出来る。重さのバランスと同時にこの角度のバランスが重要。両方のバランスが取れていると、飛び方がまるで違ってくる。軸を回転させながら羽根を見ると、羽根の外周が一本の線に見える時がバランスが取れている。(2重に見える時はNG)
(29)角度調整
調整がずれていると良く飛ばない。写真のように15度×2=30度くらいが良く飛ぶ。全てOKの時は羽根と軸のつなぎ目に、瞬間接着剤をたっぷり塗る。釣り用や低粘度の瞬間接着剤を使うと、接続部分の中までしみこみしっかり接着する。
(30)飛ばし方(初心者用)
接着剤が乾いたら、写真のように、左手を固定し、右手で軸を回転させながら、前に強く押し出す。翼を前に倒すように軸を少し傾斜させると一層安全。尚、左右両方の手を動かすと、竹トンボが顔の方向に飛ぶことがあるので危険。飛ばす時は屋外の広い場所で、人がいない方向に飛ばす。
(31)翼を削る保持器
子供達にナイフを使って、翼を削らせる時に使う安全保持器。溝の中に翼を入れ、挟んで使用する。翼の外形と厚みは事前に完成させておき、軸付近のへこみを削らせる治具。
図の上が一般に使用されているタイプ。下は翼を固定するため、ネジを付けたタイプ。
(32)保持器で削る
最初にノコ目を入れる。(又は事前にノコ目を入れておく)。次にナイフで削る。固定ネジがあると、翼がしっかり固定される。
ネジ固定タイプが一般のタイプと違う所は、3枚の板の中央付近には接着剤を付けず、中央付近の溝巾が少し広がるようにしてある。このため、中間板の厚さは2.0㎜であるが、翼の厚さの増減に対応できる。
(33)竹保持器外観
ナイフになれるためには、保持器を使わない方法がおすすめ。
(34)竹保持器図(写真をクリック)
概略の寸法を示す。厚さ調整用プラスチックシートは竹素材2.7~2.0位まで保持できる。竹の厚さによってシートの厚さを変える。
(35)大量に製作するにはベルトサンダー使用
削る楽しみは無いが、イベントなどのため50個、100個と大量に竹とんぼを作る場合に、ベルトサンダーと専用治具を使うと効率的。完成した外形は図の通り。尚、イベントで、子供達に全工程を教えながら作らせることは無理なので、半完成品を用意し、小さな子には紙やすりで角削ったり、仕上げの磨きを体験させる方法もある。
(36)ベルトサンダー治具-1
翼端を削る治具。翼の中心から翼端までの長さを正確に削れる。この治具を使用することにより、バランス調整がたいへん楽になる。
(37)ベルトサンダー治具-2
翼を軽くするために、幅方向の不要な部分を円弧状に削る。一度ベルトサンダーと治具との位置を調整すれば、短時間で正確に大量に削れる。
(38)可動レバーと跳ね上げ
翼を削ったあとに治具から翼を外すのに跳ね上げレバー、跳ね上げ板を使用。これが無いと効率が落ちる。