割りばしで作った輪ゴム鉄砲は、昔から子供達に親しまれてきました。最近は子供から大人まで人気が高まり、構造もかなり難しいものが見られます。ここでは、手作りで、子供用に簡単に作れるカラー輪ゴム鉄砲、少し難易度を上げた本格的な瞬時引き外し輪ゴム銃と四連発輪ゴム銃、そして少し手のこんだ六連発輪ゴム銃を紹介します。
カラー輪ゴム鉄砲は私のおすすめのオリジナル品です(商用不可)。ぜひ子供達と一緒に物を作る醍醐味を味わってください。
…… ちょっと一言……
大人、子供を問わず、物を作るのはたいへん楽しいものです。最近では、ほしいものは大概入手できるので、創意工夫して物を作る機会が失われています。組立だけでなく素材作りからお勧めします。
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輪ゴム鉄砲の種類一覧-1(写真をクリック)
本ページで紹介する輪ゴム鉄砲です。上から簡単な構造のカラー輪ゴム鉄砲、すべて竹で作った六角銃身の輪ゴム鉄砲、そして単発の瞬時引き外し銃です。
輪ゴム鉄砲の種類一覧-2(写真をクリック)
引き続き、四連発輪ゴム銃、六連発輪ゴム銃です。
カラー輪ゴム鉄砲以外は、デザインを同じようにし、固定軸に銅とステンレスの釘、回転軸に真鍮パイプの金属を使用しました。また四連発の回転子は竹を使用し、耐久性を持たせています。六連発銃は回転子にアルミピンを使い、ストッパー部やトリガー部に薄いカラー鉄板で補強しました。引き金のガードは竹を使用し、強い構造になっています。
標的の架台作り
昔は輪ゴム鉄砲の標的と言えばマッチ箱が定番でした。輪ゴムが当たるとマッチ箱が飛び跳ね、爽快な気分になったものです。子供たちが遊ぶ時は安全のため、中のマッチを必ず取り除く必要があります。
石粘土にアルミワイヤーを差し込み、乾燥させて固くなったら木の台に取り付けます。標的の位置が前後左右上下と自由に変化できます。図ではワイヤーが短めです。石粘土、アルミワイヤーは100ショップで入手可能です。
(1-1)外観図(写真をクリック)
構造は昔ながらの割りばし鉄砲と同じで簡単であるが、スマートに仕上げた。部品点数を少なくし、製作を簡単にしてある。銃身を赤く塗装したり、シールやカラフルな紙を貼ったりできる子供向。
図のように、丸棒の一部を削りとり、そこに引き金とグリップ(握り部)を取り付ける。デザインにこだわらなければ丸棒でなく角棒でも良い。引き金用の輪ゴムは二つ折にして、引き伸ばして隙間から入れる。
(1-2)カラー輪ゴム鉄砲の例(写真をクリック)
図の上から赤と緑に色づけしたタイプ、キラキラ光るカラーシールを貼ったもの、そしてすべて竹で作ったもの。工夫すればオリジナル品ができる。基本的な構造は皆同じ。
(1-3)構造図(写真をクリック)
この図面通りで制作が可能。作り方の要点を(1-5)以降に記載。
(1-4)使用部品(写真をクリック)
部品点数を少なくしてあるが、丸棒に引き金とグリップを挟む溝をあける手間がかかる。中央の小さな部品は引き金の角度調整用。
輪ゴムは#16(直径約 4cm)を使用。
■使用材料
使用材料:銃身:ヒバ丸棒15φ、グリップと引き金:アガテス、
■道具:クラフト用ノコ、ナイフ、金づち、クランプ、四ツ目キリ、電動ドリル、紙やすり(最後のページ参照)、竹ひご:3.0mm、木工ボンド。
(1-5)丸棒に図面の寸法をケガク
①丸棒の先端から他の端まで上下と左右に断面が十字になるように鉛筆で基準線を引く。②穴の位置をケガク: 図の63.5mmの位置、引き金支点、グリップ板取り付け穴。③引き金とグリップの取り付け溝を図のように板をあてがって線を引く。(5.0mmの幅の線を引く)
(1-6)穴をあける
④図は線をケガイた状態。⑤63.5mmの位置にドリルで5.0mmφの穴を上下垂直になるようにあける。(最初から5.0mmφにあけるのは難しいので最初は3.0mmφをあけたほうが良い)。
(1-7)引き金取り付け部をカットする
⑥63.5mmの線の内側に沿って5.0mmφの穴までノコで切る(4.0mmくらいの幅になるように切る)。⑦図は溝を切った状態。⑧溝が穴を中心にして5.0mm幅になるようにナイフで削る。引き金が動く範囲は5.0mmより少し0.5mmほど多く削る⑥板付き紙やすり(#60)で平らにする。
(1-8)引き金用ゴムの取り付け穴をあける
⑨ノコで引き金用ゴムをかける溝を切る。⑩溝の両端の位置に2.5mmφの穴で貫通させる。(四ツ目キリで開けても良い)⑪1個の輪ゴムを二つ折にして引っ張りながら溝から穴に入れる。ノコで切る溝は狭くてよい。
(1-9)引き金とグリップの取り付け
グリップを銃身の溝に差し込み、引き金を引いた時に当たる角度を決める。角度を保持したまま、グリップと銃身を3mmφの穴2個を同時にあける。次に銃身に引き金の調整板を差し込み発射角度を決め、調整板を木工ボンドで固定する。く
(1-10)竹を使ったカラーゴム鉄砲(写真をクリック)
構造は丸棒と同じだが銃身は六角形にした。篠竹の銃身部を六角にナイフで削り、紙やすりで削る。
材料はすべて竹を使用した。引き金とグリップは孟宗竹。
(2-1)外観図(写真をクリック)
引き金を引くと、輪ゴムをかけた回転子が引き外され、輪ゴムが瞬時に発射される。
銃身に丸棒を使用した。このため少し加工が難しくなっている。軸以外は木を使用した。力のかかる接触面には強度UPのため、低粘度タイプの瞬間接着剤をしみこませてある。
(2-2)外観図(写真をクリック)
上からもた図。
(2-3)駆動部(写真をクリック)
動作部は、ゴムをかける回転子とこれを引き外すトリガー一体の引き金、そしてバネ二個からなる。
回転軸は真鍮パイプ、固定軸は銅釘を使用。バネはピアノ線を曲げて作る。一個は引き金用、もう一つは回転子を定位置に復帰させるため。
引き金の軸に取り付けた長いバネが、回転子の軸の近くに埋め込んだ釘の軸を押している(釘の頭が見えている)。
(2-4)構造図(写真をクリック)
回転子のストップは、グリップで行うため、グリップを取り付ける際に注意が必要。(図の二個の三角形位置)
(2-5)使用部品(写真をクリック)
■使用材料
材料;ヒバ丸棒15.0φ(銃身)、ヒノキ12.0t(グリップ)、アガテス3.0t(側面)、アガテス5.0t(引き金。回転板)、竹(輪ゴム受け)。
真鍮パイプ4/3φ(回転軸)、銅釘2.57φ(固定軸)、ピアノ線0.8φ(ばね)、
■工具:共通工具参照、
(3-1)外観図(写真をクリック)
連発銃のスタンダードタイプ。構造は簡単であるが、初めて作る人はてこずる場合がある。(ページ後部に記述の”7.輪ゴムの発射と巻き上げ動作”を参照)強度を上げるため回転子に竹を使用し、トリガー部の一部も竹で補強した。また力のかかる接触面に強度UPのため、低粘度タイプの瞬間接着剤をしみこませてある。
(3-2)外観図(写真をクリック)
上から見た図。
可動軸の長さが左右の側板間より短いと、隙間ができ、ゴムが巻き込んで切れたりする。
四連発銃に限らず位置決めの治具を多く使用すると正確で良い製品ができる。
(3-3)動作部(写真をクリック)
回転子は竹の棒6.0mm厚の2個を中央で3.0mmの深さに四角に切り欠き、井桁に組んである。(お互いにはめ込んである)、図(3-5)の左端参照。引き金のストッパー部に竹の補強板を張り付けた。引き金のガードは竹を熱で曲げて作る。
(3-4)駆動部分(写真をクリック)
動作部は、ゴムをかける回転子、これを引き外すトリガー部、これとストッパー部が一体となった引き金からなる。
回転する軸は真鍮パイプ、固定軸は銅釘を使用。バネはピアノ線を曲げて作る。
(3-5)使用部品(写真をクリック)
■使用材料
材料;ヒバ丸棒15.0φ(銃身)、ヒノキ12.0t(グリップ)、アガテス3.0t(側面)、アガテス5.0t(引き金、回転板)、竹(引き金ガード、輪ゴム受け)。
真鍮パイプ4/3φ(回転軸)、銅釘2.57φ(固定軸)、ピアノ線0.8φ(ばね)、
■工具:共通工具参照
(4-1)外観図(写真をクリック)
精度、強度、耐久性を考慮し、回転子のピンにアルミ棒を採用し、ストッパー部とトリガー部の補強にカラー鉄板を使用した。また、この可動部全体をカラー鉄板で囲いユニット化した。
ユニット化により精度をあげ、調整が少し楽になった。
(4-2)外観図(写真をクリック)
金属を使ったため発射時カチカチと音がする。
(4-3)動作部ユニット(写真をクリック)
本体内に取り付けたユニットの内部(軸カバー鉄板が取り付けられていない状態)。見た目は良くないが、取り付けの精度が上がる。木工の接着にタイトボンドを使用。側板の表面には何も出さないようにした。
(4-4)本体内の動作部ユニット(写真をクリック)
動作はCADでシュミレーションし、暴発(ゴムが同時に2個以上発射する)を防ぐ手助けとなった。
(4-5)使用部品(写真をクリック)
使
■使用材料
材料;ヒバ丸棒15.0φ(銃身)、ヒノキ(グリップ12.0tと側面6.0t)、アガテス5.0t(引き金5.0t)、竹(引き金ガード、輪ゴム受け)。
真鍮パイプ4/3φ(回転軸)、ステンレス釘2.73φ(固定軸)、ピアノ線0.8φ(ばね)、、アルミ棒4.0φ(回転子用ピン)、水道パイプ用ソケット(回転子用)、カラー鉄板0.26t、
*六連発銃では軸の隙間を小さくするためステンレス釘を使用。
■工具:共通工具参照
*木工ボンドは強力なタイトボンドを使用して、竹串による位置決めと補強を省略した。
(4-6)回転子と引き金部品(写真をクリック)
■回転子(図の上部)
右端からソケット(水道管パイプの接手)に木の丸棒を圧入。ピン用の穴をあける。角を削り落とす。アルミ棒を打ち込む。
下は左からピンの位置決め用の角度治具、アルミのピン。真鍮パイプとステンレス軸。
■引き金部品(図の下部)
図の左端の鉄板は右端のようにボンド(G17)で接着し補強する。
(5-1)■共通道具(写真をクリック)
クラフトノコ、ラジオペンチ(バネ加工用)、ナイフ、金キリハサミ、クランプ、糸鋸(木工歯、金属歯:金ノコがあれば尚良い)
定規、コンパス、ノギス、分度器。
ゴムボンド(G17)、木工ボンド、瞬間接着剤(木の強化用に100ショップの低粘度タイプまたは釣り具用)。
図にはないが、金ずち、電動ドリル:(1.0mm以下でも使えるのが良い。スタンド式があれば尚良い)、木工タイトボンド(USA製で少し割高ではあるが最適、日本製に比べ硬化時間が短くより強力)、
(5-2)便利な道具1(写真をクリック)
ナイフやノコで加工した面を仕上げるのに、紙やすり(空研ぎ用)を使用する。図の左から木片に薄い鉄板(建築資材用)を張り付け、紙やすりを取り付けたもの(薄い両面接着テープで可)。
左から2つ目は2.0~3.0mmくらいの板に紙やすりをテープで貼ったもの。狭い隙間用。
丸棒に紙やすりを巻きクリップで止めたもの。曲線部分に使用。
右端2個は竹のカーブを使用。大きな曲線を削る。
紙やすりの細かさは#60が粗削り用、#120が表面調整用、手持ちで#240で仕上げる。#60はたいへん良く削れる。
使用したCADはフリーソフトInkspace。
(6-1)動作のシュミレーション
引き金の軸と回転子の位置関係
引き金の軸の位置を決める時、図のbc線を二等分したd点に、垂直に立てたde線より上側に軸を位置すると、ab線よりac線が長くなり、回転する時にc点の軌跡はb点より距離が長く、また回転子軌跡円内のストッパーエリアに速く入る。このため暴発しにくくなる。ただし引き金のストローク(角度)も大きくなる。
ゴムの発射と巻き上げる動作のシュミレーションを図に示す。
ゴムの巻き取り動作も発射動作と同様に重要となる。四連発も原理は同じ。
(6-2)ゴムの発射
引き金を引いている途中。まだピンがトリガー部にかかっている。
(6-3)ゴムの発射
引き金を引き終わった直後にゴムが離れる瞬間。
(6-4)ゴムの発射
引き金を引き終わると回転子のピンが図のストッパー部にかかり、回転子が止まる。暴発はストッパーにかからない状態で発生する。回転子のピンがストッパー部に当たる時はかなり強い衝撃となる。
(6-5)ゴムの巻きとり
前図のストッパー部で停止した後、引き金を緩めると図に示す発射位置に戻る。
(6-6)ゴムの巻きとり
ゴムを回転子にセットし、回転子を右回りに回すと、前図からこの図にかけてストッパーを通過する時、設計が悪いと、赤点がストッパー部先端にひっかることがある。回転子の緑点(赤丸)の先端がトリガー部の先端を通過する時の軌跡に注意。
(6-7)ゴムの巻きとり
回転子の緑点がトリガー部の先端を超えた後に、ピンを離すと発射位置に戻る。この時に右下の図の箇所にすき間が必要。この動作でもストッパー先端は回転子にぶつからないようにしなければならない。これで次のゴムがセット可能な状態になる。