池〇さんは昔籠屋さんを営んでいましたが、その後、籠の需要が少なくなり、職を変えたそうです。その後、近隣の方々から、作り方を教えてほしいと依頼があり、農作業用の籠を公民館で教えることになったそうです。
現在は高齢のため行っていません。このサイトに記載した内容は、公民館で教わったことをまとめたものです。籠は、昔実用的に使われていた青竹を使います。
…… ちょっと一言 ……
・竹籠は乾燥させ油抜きをした竹を使うのが一般的ですが、ここで紹介する籠は伐採してすぐにヒゴに加工し、そして編む、実用的な籠の製作です。
・カビを防ぐには、湿気のある場所に放置しないことです。
■更新内容(サイト全体): 更新情報
竹の伐採と基本事項
竹は直径:、8~10cmφ前後、節間:40cm~前後。伐採する時期:3年位、節のでっぱりが少ない真っ直ぐな竹を選定する。伐採した時は汚れを拭き取る。汚れが落ちにくい時は純銅製のワイヤータワシで軽く擦る。純銅以外の金属はキズが付く。
ヒゴは必ず竹の先の方から割く。(昔から木元竹末と言われている)。 作業に手袋は使わないこと。手袋をつけた方が安全と思えるが、皮手袋をした人が指を切ったのを見ている。
竹籠を作るには、刃物で手を切らない仕組みになっている。その仕組みを覚えることが重要。一般的に籠の縁の処理に籐を使うことが多いが、昔は実用の籠には亜鉛メッキ鉄線も多かった。
(1)基本的な道具
(1)両刃と片刃のナタ、両方とも刃渡り24cm位ほしい。(2)竹引きノコ。(3)植木用ハサミ。先が長く刃が厚く丈夫なもの(4)マイナスドライバー(5)ペンチ(縁巻に針金を使用する場合)(6)水スプレー器(7)厚手で丈夫な膝当て。(8)木枕(9)あれば便利なもの:丈夫なクリップ等いろいろ。
(2)大きな籠を作るときの道具
池〇さんの道具で竹の裏側を削る刃物。大きな籠を作る時に使用するものです。
ナタの話:両刃の竹用のナタを使う。ナタの刃でさく時は、刃元近く5cm位砥石で刃を落とす。刃を落とさないと手を切り危険。
(3)大きな籠を作るときの道具
前の写真と同じ用途の刃物、こちらの刃物は片手で使えるので使いやすく、どちらも鍛冶屋さんに作ってもらったとのこと。
ヒゴの厚さと巾を一定にさくのは経験を積まないと難しい。工芸作品を作る時など、より精度の高いヒゴが必要になるが、最後のページに巾と厚さを一定に削る手作りカンナを紹介しておきます。
(4)節部の断面
矢印が示す黒い線は、竹の生長点を示し、竹の先方を示す。その右側の山を越えた右に袴がある。竹の先方向の見分け方は節を見るのが容易。
(5)節部の外観
写真の黒く見える部分が袴で、編むときに引っかかるので削る。ただし下の丸みのある部分は削らない、削るとヒゴが折れやすくなる。
(6)袴の削り方
袴を削る。ナタは固定し、竹をまわして削る。
(7)袴の削る位置
袴と鉈の角度。
(8)竹を2つに割る位置
最初に竹を縦に割る位置は、枝のある縦方向の位置にナタを入れ、2つに割る。枝のある位置はよく見ると肉厚が少し厚くなっている。(矢印)枝は節毎に交互に出る。この位置で割るとヒゴを作るのに無駄が少ない。
(9)竹を2つに割る
竹を2つに割る時は、右手でナタの柄を持ち、左手で刃先近くの峰を叩き、両手で押す、このため、きるだけ刃渡り(刃の長さ)の長い方が使いやすい。
(10)ヒゴの巾決め
2つに割った後に、必要とするヒゴの巾に印をつける。池〇さんは図のようにナタを使い、目測で印をつけるが、工具用のデバイダーで印をけがくと容易。
(11)竹に印を付ける
皮を上にして左手でしっかり竹を握る。この時左の親指が右手の親指のストッパーになり、ナタが左手に食い込むのを防ぐ。
(12)竹に印を付ける
右手をテコの原理でナタを竹に食い込ませる。なれないとできない。
(13)竹を縦に割る
身を上して印の位置で割る。
(14)縦に割る
巾を均等に割るには、左手の指でしっかり竹を挟み、右手の刃先を真っ直ぐに入れ、下まで割っていく。左手の挟む力が弱いと曲がる。決してこねってはいけない。また挟む力が弱いと刃のストッパーが効かなく刃が行き過ぎて手を切る。
(15)平らにさく
最初に割く位置は、皮部と身部の力が均等になる位置、身側から70%位にする。
(16)指を切らない方法
竹を持っ左手は動かさず、刃を左手方向に動かす。さいたら竹を移動させる。さく時、左手の親指が右の親指のストッパーにし、左手を切らないようにする。ナタの刃が錆びている場合は良く磨く。
(17)さく時の力加減
右側が太くなりそうなとき、元に戻すには刃の角度と力を図のようにする。裂け目は、曲がりがきつい方に寄るので、太くなる方に刃物を向ける。
(18)左手の指の位置
竹を持つ左手の親指と人差し指は竹方向に対し、直角になること。親指と人差し指を互い違いにすると、力が偏り、厚さのコントロールが崩れる。
(19)均等にさくコツ
平ヒゴを割くとき。左手でしっかりヒゴを挟んで固定し、右手のナタを竹に対し、水平に移動させてさく、この時、左手をしっかり竹を挟んでいないと刃が左手に食い込みやすく、裂け目が上下に偏っていく。
(20)均等にさくコツ
ナタは大きく動かさずに、小刻みに動かし、さいていく。左手の位置は固定。
(21)手の怪我防止
竹の表面をしごいて、ささくれを取る。また各工程毎に必ずヒゴの角を鉈でしごく。取らないと手を切ったり棘を刺したりする。また、ヒゴの上下方向を一方向に統一して並べること。向きをバラバラにすると作業効率が悪くなる。
(22)節越え前
言葉や書物で説明しても経験を積まないと上達しないが、経験を積むと自然と指が動く。
(23)節越え後
節を超える時は、ある程度右手に力をいれ、その勢いでさくイメージ。途中で止まった時は決してよじってはいけない。また、左指はしっかり竹を挟む。節越えは原則竹に対し、水平であるが、厚さ加減で少し角度を付ける時がある。
(24)さいた結果
ヒゴを写真のように輪を作ると巾、厚さが均一の場合、きれいな円状になる。
飾り籠
生活に使う籠は丈夫で長持ちの亜鉛メッキ針金で十分ですが、見栄えの良い籐を使う場合もある。
大和縛り
籐を使って大和結び。梅干しを干す籠。籐は手加工品と機械加工品があり、手加工品は高価。
花飾りの籠
油抜きしていません。数年経ちますが、カビは生えていません。