(17)土を追加する
窯の入口近くの厚さが薄いので、土を追加する。追加する箇所にじょうろで水を加える。
(18)土の量を追加する
別に用意した容器に土を入れ、じょうろで水を加えながら手でこねる。粘り気が出て、垂れない程度にこねたら、握りこぶしより少し大きい程度に丸めて追加する所に運び、手で伸ばして広げる。
50mm程度の角材の平坦部で叩く、最初は軽く、次第に強くするがあまり強くすることは厳禁。また角材の角で打つことも厳禁。
(19)表面をたたく
打ち板で力いっぱい山を叩く。音がパンパンと響くほど力を入れて打つ。2人以上で打つ。叩くことにより土が伸びて粘着を増し、強度がでる。円周に沿って1方向に移動しながら打つこと。同時に一人は山の頂上にあがりそこから円周に沿って同じ方向に打つ。
土はボロボロの状態から粘着を帯び、締まった状態に変化する。また土の面に水平で打つこと。腰を低くして叩く手を抜くと、後で土に緩みや亀裂が入る。
(20)表面をたたく
杵と打ち板で打っている最中でも異物があれば除去すること。打ち終わったら表面に異物がないか再チェックしあれば取り去り補修する。補修は強度を弱めるため原則として、しないこと。手で山の表面をなだらかにする。
(21)煙突の部分
土で仕上げる。
(22)道具
杵と打ち板。
(23)火のコントロール(写真をクリック)
1)釜の入り口から1mほど離れた場所で火を焚き、その煙で釜の内面の土を乾燥させる。釜の外面は天火で乾燥させる。外気は雨天のように湿気の多い日は不適である。秋、冬の温度が高い日が最適。但し、冬の霜が降りる状態は不可。
2)火入れ:釜の中の材に点火させ、土を焼く。土の乾燥不足や釜土の肉圧が部分的に薄い場合などはその部分が弱くなるため、穴があき、陥没する危険がある。よって常に監視を怠らないこと。(24時間体制とし、異常が発生した場合の対処方法を事前に取り決めておくこと)
万が一部分的に陥没した場合は部分的な修理をおこなうが、こぶし大以上の時は補修は困難であるため、火を消し、再度釜を作り直す方が良い。火を消す場合は着火している材を釜の入り口より個別に引き出し、釜の外で消火する。入り口付近の材を抜き出してから入り口付近の土を取り去り徐々に後方へ処置する。
火の点いた材を引き出すためのフック状の棒を準備する必要がある。釜の中の火力がある状態で、水をかけることは危険なため厳禁。水をかけると水が急に水蒸気にとなり急膨張して水蒸気爆発にいたる。水をかけることが出来るのは釜の外に出した材とくすぶった材のみ。
松○○さん
(上の続き)
釜の入り口付近は常時整理整頓のうえ清掃し、可燃物はおかない。万が一の場合に備えて、トタン板数枚と半分のサイズを数枚いつでも使えるように準備しておくこと。これは釜が崩れて外気と接触すると火柱が立つのを防ぐ目的に使用する。短時間の間、火柱が立っても周囲に燃え移らないように考慮しておくこ。
3)火は煙突近くの材に着火すると煙りの色が黄色になる。良く見ないと白っぽくみえる)また煙りが濃淡のある段々状にみえる。(もくもくと立ち上がる)この時まで入り口の石板は外さない。炎は釜の上部に吸い込まれ、煙突から煙りが立ち上る。
煙突から煙りが出ず、釜の入り口から煙りが出る場合は煙が逆流している。原因は煙突が詰まっている。穴を上から突ついてはいけない。突つくと煙突の内部の土を崩し一層詰まる。煙突の入り口付近に水が溜まり煙突の穴をふさいでいる。
(24)点火
釜の入り口に塩を3握りとお酒をコップで撒き、神に祈願する。
そして釜の入り口でたき火をし、煙りを釜の中に入れる。
(25)乾燥
煙は釜の中で土をゆっくり乾燥させる。炎の大きさで600~1000mm離す必要がある。近ずきすぎると釜の中の薪が燃えてしまう。薪に火がつかないように入り口の薪を平たい石で覆う。
たき火は火を絶やすことなく燃やす。使用する薪は夜間に木の切り株等の大きいものを燃やす。これは燃やす作業を少なくするため。交代で火の番を寝ずに行うこと。釜の上は太陽の陽射し(天火)で7日間ほど乾燥させるため、屋根はかけないこと。屋根は火を消す前後にかけること。雨天が予想される場合は短時間で屋根をかける準備をしておくこと。
(26)乾燥
煙はゆっくり立ちあがる。煙の温度は常温に近い。煙の色は白。薪に着火すると黄色に変わる。着火したばあいは危険なため煙突と入り口を封印する。逆流すると煙りが見えなくなる。(この状態では釜の内側の土は乾燥しない。)
入り口のたき火の煙:煙を釜に入れている最中は煙突からの煙は常温であり、釜の土も常温。薪に着火して危険な状態になることがあるため、トタン板を用意しておき、火の手が上がりそうな場合はトタン板を数枚被せる。
(27)トタン囲い
煙突の周りはトタン屋で囲われていること。トタン板は地面に埋め込まれ、外部の空気が入り込まないこと。これは煙突からの煙をまっすぐに立ちの登らせるため。
(28)煙突をふさぐ
火を消すため煙突をふさぐ。
(29)補修用の土を準備する。
補修用の土はセメントを混ぜて作る。土、セメン共に粉の状態で混ぜる。
(30)窯の上に屋根を準備
煙突の上に3m以上の屋根を付ける。屋根はトタン板とする。土窯が破壊すると火柱が立つ。火柱は5m以上になることもあるので窯の近くと上部には立ち木や枝がかからない場所であること。
土窯が完成。窯の上面はたき火と日光による天日、そして下面はたき火による加熱で乾燥されている。
(1)点火前のテープカット
土窯が完成したので、中の材を炭にするため再度点火する。
(2)火の回り方(写真をクリック)
窯に点火し、炭にするまでの経過は、煙突の煙の状態ですべてを判断する。最近は煙りの温度で判断することが多いが煙の流れ、量、色、で窯の状態がすべて把握できる。
(1)焚き口からの火は窯の上部の細い材を燃え伝わり煙突側の炭材に着火する。煙突に達したら、火は上より下に向かって燃え進む。(2)焚き口側の炭材に着火しないように焚き口の中に太いくりの木などの難燃性の丸太を1本置き、焚き口からの炎(空気の流れ)を窯の上部に導く。
(3)火のコントロール(写真をクリック)
(4)火のコントロール(写真をクリック)
火力の調整は焚き口に石板を置き、口の大きさを調節すると同時に焚き口に土を盛り、風の流れと風量を調節する。
(5)火のコントロール(写真をクリック)
煙の色は白。薪に着火すると黄色に変わる。逆流すると煙りが見えなくなる。薪に着火して危険な状態になることがあるため、トタン板を用意しておき、火の手が上がりそうな場合はトタン板を数枚被せる。着火したら入口の下側を塞ぐ。
(6)点火する前の窯の入口
窯を乾燥させたので今日は窯の中に詰めた薪を燃やしながら窯の土を焼く。中の薪は炭にする。
(7)点火
焚き口で燃やす着火用木は,クヌギの生木が最適である。細木(5mm程度)でも火力が強いが、乾燥した木は火力が弱く持ちが悪い。火力が強いと炎が奥まで入っていく。
(8)石板を取り付け燃やす
着火したら釜の下側を塞ぐ。
(9)煙が出ない不具合
おき(燠)が溜まってきたら、レンガ2ヶと石板でかまどの入り口を組み、薪を石板の上から燃す。
(10)煙の監視
松○○さん宅はこの窯から200m位離れているが、自宅にいても煙の匂いで窯の状態がわかると言われた。
(11)入口をふさぐ
空気が入らないようにしっかり密閉。(実際は窯に穴が開いたので、火を消すために入口をふさいだ状態)
(12)炭だし
この炭は入口付近のみで、奥は蒸し焼き状態。
(13)ひび割れ
釜の土は小さいヒビ割れを発生するが、目視で明確に確認できるヒビ割れは不具合とみなす。ひび割れが発生した場合は土を水でこねて張り付ける。程度が大きい場合は土にセメントを混ぜてこれを補修に使う。こぶし大以上の穴や大きなひび割れの場合は補修を断念する。
(14)穴が拡大
3cmの穴が大きく拡大。火炎が上がる様子。