中級以上の竹とんぼ作りは、竹とんぼ仲間の火○さんの作品を最初に紹介します。このページは少しレベルの高い竹とんぼの概要と、使用する道具類を述べ、製作方法は、国際竹とんぼ協会に入り、指導を受けてください。火○さんと私は国際竹とんぼ協会の定例会で師匠の森○さんに基本から教えていただきました。
竹とんぼの仕様は作る人の考え方で決まります。そして翼の形状や作り方は常に進歩しています。ここではこれまでの経験で得た個人的な方法?(一般的かわかりません)を記述します。また、ある程度竹とんぼを作る知識のある方を対象にしています。
中級以上の竹とんぼになると、高速で回転し、製作の不具合や翼の不慮の破損で顔面に傷を付けるリスクが高くなります。このため必ず各地の国際竹とんぼ協会に参加し、製作と安全の指導を受けてください。ゴーグルの着用が必要です。このWebの記述内容による事故の責任は負えません。
ページ後半に私の道具や治具類、そして飾り竹とんぼを紹介します。飾り竹とんぼは競技用でなく飾って楽しむものです。
…… ちょっと一言 ……
中級以上の竹とんぼ作りは、たいへん緻密な作業が多く、手と頭脳の訓練に最適です。
■更新内容(サイト全体): 更新情報
竹とんぼの材料(写真をクリック)
写真は以前、火○さんと竹とんぼ協会で活動していた時に、孟宗竹の油抜きを行った様子。年末に伐採した孟宗竹を、ドラム缶のお湯を沸騰させ、中に入れ、煮沸させる。煮沸が終わったら竹が熱いうちに表面に浮き出た油類をウエスでふき取る。そして陰干しで3年以上寝かせる。
3年位になると竹が硬くなり始め、使用できるようになる。以前、私は一斗缶を使い煮沸させたこともあった。尚、バーナーで竹を加熱する場合は、表面近くの油を取ることは容易、しかし、内部までバーナーで加熱するのは時間もかかり難しい。竹の内部に油が残ってしまうと、硬さや長期に保存した場合に違いが出るようだ。こだわらなければバーナーでも可能。
竹とんぼの材料(写真をクリック)
竹の材料は孟宗、太い真竹など。煤竹は簡単に入手できないが、硬く、特に軸を作るのに最適。
写真は上から煤竹、ゴマ竹、虎竹。尚、真竹で作る場合はサイズ(直径)が大きく肉厚が厚い必要がある。
純竹-竹とんぼ(写真をクリック)
竹とんぼは、一般的に翼の角度の違いで距離用、滞空用、高度用に分けられる。また使用する材料で純竹、象嵌に分けられる。象嵌はどのような材料を使っても製作OK。写真は純竹タイプ。
竹とんぼを作る際に翼の型紙を必要とするが、これはノウハウがあるため掲載は割愛。前述の協会に入れば入手出来る場合がある。
竹とんぼの形状は、その時折で傾向があり、各自様々。
象嵌-竹とんぼ-1(写真をクリック)
写真は翼端に錘を付けた象嵌タイプ。錘が取れないように補強材を貼り付けている人もいる。
上は銅板を貼り付けてある(競技用を作成する時はタングステン)。下は加工用タングステンを貼り付けた象嵌タイプ(左きき用)。
軸はカーボンを使い、滑り止めのため、布ヤスリを巻いている。
象嵌-竹とんぼ-2(写真をクリック)
翼の角度が大きくなると、形状も大きく変わる。
翼のカーブ(写真をクリック)
左のグラフは一般的な竹とんぼの翼カーブ。高度用、滞空用、距離用に大きく分けられる。縦軸がピッチ角、横軸は軸中心位置が0%、翼端が100%。尚、翼端の戻り角は加味していない。
竹軸(写真をクリック)
軸の材料は純竹トンボには竹を使用、それ以外の象嵌にはカーボンが多く用いられる。カーボンは少し高価ではあるが竹とんぼに最適。
■竹軸は翼と同等に気を遣うほど重要。竹の軸の両端を持ち、捩じった時に捩じりの変化が感じられない程の硬さが必要。真っすぐで硬いと、力一杯軸を回した時、軸のぶれが少なく、性能が落ちにくい。カーボン軸は多少捻れてもすぐに元に復帰する。
写真の軸は強度と直線性を出すため捩じってある。火○さんは特殊な工具を使わず、写真のように捩じった軸を作成している。私は軸作成治具を使用している。(後述)
スクラッパーナイフ(写真をクリック)
写真は翼の表面と裏面、そして軸付近を削るスクラッパーナイフ。翼の位置によって角度が変化するため、翼形に合わせるため種類が多くなっている。
写真のスクラッパーナイフは、ほとんどカンナの刃をカットし、加工して刃付けをしたもの。製作にはかなりの手間がかかり、研ぎの技術が必要。
■翼の厚さは、軸位置から翼端近くまで出来るだけ左右均一に、かつ薄く削る必要がある。これらのナイフを使うことにより、翼面が均一にムラなく薄く削れる。また翼厚方向の左右の翼が同一形状に削れる。翼を削る時、平面の形状には注意するが、翼厚方向にはあまり気を使わない傾向がある。写真の上の壁掛け板にスクラッパーナイフが並んでいるが、一部を写真の下に拡大してある。
バターナイフ(写真をクリック)
写真のナイフの材料はサワラと竹。サワラは木のTOP近くの芯材や、枝の付け根の年輪の目が詰まった個所を使用。少し赤身を帯びている。これを削る時にスクラッパーナイフを使用。きれいなカーブで作れる。
スプーン(写真をクリック)
材料はバターナイフと同様のサワラを使用。木目がきれい。
スクラッパーナイフ(写真をクリック)
写真は私のスクラッパーナイフ。先に紹介した火○さんのナイフと違い、一番下を除いて、目立てヤスリの中古品を加工したもの。翼の凸面削りに対応出来るようにいくつか刃形がある。一番上は直線で、軸を細く割く時にも使用。一番下は凹面削り用のナイフで、工作機械用の刃材をヤリ状のナイフに加工したもの。一般のナイフと違い、硬くて刃こぼれが少ない。
鉄工ヤスリ(写真をクリック)
竹を削る主役の鉄工ヤスリ。写真のヤスリは上から粗目、細目でツボタケ製品のステンレス用ハイカット仕様。価格は多少高価ではあるが、長く愛用する場合は最適なヤスリ。竹とんぼの愛好者が多く使う製品。3個目のヤスリは木工用で粗削り用。ヤスリは常に銅ブラシで切り屑を落として手入れが必要。
彫刻刀(写真をクリック)
写真は少し大きめの外丸刃彫刻刀(25mm、20mm)、竹とんぼ翼のカーブを荒く彫るのに外丸が使いやすい。たいへん良く切れるが、翼を固定する治具を使用すると速くて安全。(使い方によっては一般的な内丸が良いかも)
子供専用竹とんぼ(写真をクリック)
子供用に作る竹とんぼは、トンボ全体で2.0~2.5g位に軽くしないと、非力な子供には良く飛ばせない。写真は子供用に大量に作る時、軽くするため、前写真の彫刻刀20mmで翼の裏をざっくり削り取ったもの。表は削らない。右側の写真は翼端を少し重くし、翼端を少し残してある。尚、軸付近は削っていない。
■軸は皮のついていない竹の丸棒を使用。スクラッパーナイフで断面が正方形に近い形状にスクラップさせ削る(正方形にすると削りすぎ)。これは軽くし、回す時に滑らないようにするため。軸だけで1g以下にする。
■電子秤が無い時は、1円玉硬貨が正確に1gであるので簡単な天秤秤を作って測定が出来る。
工具(写真をクリック)
上は軸の調整などに使用するミニバーナー、下は25mmの愛用ナイフ。スエーデン製マシーンソウの歯をナイフに加工したもの。硬く、切れ味、耐久性ともに優れていて、竹とんぼ作りに最適。
ノギス(写真をクリック)
最近は、ほとんど写真上のデジタルノギスを使用している。0.001mm迄測れる。視力が弱いので大変便利。
厚み計と重量計(写真をクリック)
上は厚さゲージで竹の厚さを点位置で容易に測れる。0~10mm、0.05mmタイプ。
下は電子秤で0.01gまで測れる。必需品
竹軸用カンナ(写真をクリック)
上は竹軸の寸法出しサンダー、下は竹軸専用カンナ。
サンダーは国際竹とんぼ協会の方が作成したものを改造した。竹軸をネジでしっかり固定し、寸法が2.0mm以上であればサイズを自由に設定し、正確に削れる。
当初、写真の竹軸専用カンナを使用していたが、真っ直ぐに正確に削れるが、竹にしなりがあると、竹の繊維を切ってしまう。現在は繊維に沿って手で割いているのが多い。(曲がっても後で矯正する)。
軸作成治具(写真をクリック)
軸をひねり、圧力をかけて真っすぐにする自作の道具。
竹軸の作例(写真をクリック)
上の軸作成治具で作った竹軸の例。少し捩じった方が良くなる事が多いが、材料や手順にむらがあるため、強度、直線性が必ず良くなる実証は無し。尚、見た目が良いので飾りトンボにも使っている。ねじりピッチはどの位置でも自由に変えられる。
軸を捩じる時に竹に圧力をかけることで少しは硬くなると思える。
竹軸を真っすぐに強くする方法はいくつも方法があるが、二本の竹を背同士で張り合わせて曲がりを防ぐこともその一つ。
飾り竹とんぼ(和紙使用)(写真をクリック)
竹とんぼを用意し、その上に模様の入った紙などを貼る。
写真は友禅和紙。プレゼントすると喜ばれる。
飾り竹とんぼ材料(和紙使用)(写真をクリック)
飾り竹とんぼは飾り用のため、翼の形は見栄えを良くする。紙は江戸紙、京和紙、友禅和紙など好みの和紙を使用。
飾り竹とんぼ1(貝などを使用)(写真をクリック)
主に貝や黒檀、模様のある木片、その他好みの材料を埋め込んで作る。
下の竹トンボは外と中の竹を黒檀で繋いでいる。
飾り竹とんぼ2(貝などを使用)(写真をクリック)
形状のデザインを思案するのも楽しみ。
飾り竹とんぼ3(貝などを使用)(写真をクリック)
上は師匠の森○さんの作品、かなり昔に頂いたため、少し痛み始めている。
使用するアワビ貝(写真をクリック)
写真は日本のアワビ
飾りに使う貝は、アワビ、メキシコ貝。ニュジランド貝、アバロニ貝、白蝶貝等がある。メキシコ貝は現在輸入禁止かも。
これらの貝を薄く削って、模様の形状にカットし、竹に溝を彫り埋め込む。加工の際発生する粉塵は防塵マスクやゴーグルで保護し、吸い込まないこと。(吸い込むと貝毒の影響が出るリスクあり)。アワビなどの貝は料理で加熱したものはNG。
使用するメキシコ貝(写真をクリック)
写真の重なった貝は上が、ニュージランド貝、下がメキシコ貝。
釣り道具店で貝を薄くスライスしたシールが販売されているが、使用していない。
使用する黒檀(写真をクリック)
紫檀、黒檀、他。